作品部門

(写真)左:ポコラート全国公募vol.6審査会場/右:ポコラート全国公募展vol.5会場風景

「作品部門」では、応募作品1,632点の中から選ばれた入選作品154点を展示します。
絵画、立体作品、スケッチブック、今年も驚くべき表現の数々が並びます。

審査委員コメント

会田 誠(美術家)

障害が少しの人から重度の人まで、美大生からメンヘラと呼ばれるような方々までまぜまぜで応募し、評価の基準がないようなもの。審査する側も、ブレ続けて軸なくジャッジした。全部がフラットな感じで軸足がちゃんと定まらないのが面白い。本当言えば、プロの作家や美大生など障害のない人々がもっと多く混ざって鬩ぎあって欲しい。

あいだ・まこと。1965年新潟県生まれ。1991年東京藝術大学大学院美術研究科終了。絵画、写真、映像、立体、パフォーマンス、インスタレーション、小説、漫画、エッセイなど表現領域は国内外多岐に渡る。近年の主な個展に「天才でごめんなさい」(森美術館、東京、2012-13年)、「ま、Still Aliveってこーゆーこと」(新潟県立近代美術館、15年)など。撮影:松蔭浩之/Courtesy Mizuma Art Gallery

鴻池 朋子(美術家)

今回のポコラートは、元気はあるし、バイタリティもあるのだが、「否定」がない、ということが印象的だった。強い否定がぶつかるような作品はほとんどなかった。また四角い画面の中で絵を描くということは、守られている世界なのかなとも感じた。

こうのいけ・ともこ。2009年 個展「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」東京オペラシティ(霧島アートの森巡回)’15年10月「根源的暴力」神奈川県民ホールギャラリー。社会の境界に生息する森羅万象の物語を、様々なメディアと壮大なインスタレーションで表現し、国内外で高い評価を得ている。

保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員)

(ポコラート全国公募の審査の)初めの頃は、絵としての構図、色彩の面白さで評価していたが、回を重ねるにつれて審査するときの思いが変わってきた。周りの環境に対してどう反応しているのか、その反応をどう定着させているのか、どうしてこの絵が生まれたのかということについて見てみたい、評価したいと。

ほさか・けんじろう。1976年生まれ。企画した主な展覧会に「エモーショナル・ドローイング」、「フランシス・ベーコン展」など。主な著作に『アール・ブリュットアート 日本』(監修)など。『すばる』『朝日新聞』で連載。しがアール・ブリュットアドバイザー。東京藝術大学、九州大学などで非常勤講師も務める。

中村 政人(アーティスト、東京藝術大学教授、アーツ千代田 3331統括ディレクター)

体育館一杯に敷き詰められた作品群。それぞれ1枚1枚に込められた感情やイメージ、時間の密度は、ただならぬ空間の肌理を抱いている。ポコラートの応募作品約1300点が敷き詰められた体育館は、なぜこのように空間が変容するのであろうか?1300ものイメージが何かの核心地を形成しているように感じる。生命体である我々人間の集合知が大きく新陳代謝するために創造力の全てをさらけ出しているような空間感だ。自らを革新していくための核心地。ポコラートは、次のステージに脱皮しなくてはならない時期にきている。

なかむら・まさと。1963年秋田生まれ。「美術と社会」「美術と教育」をテーマに様々なアート・プロジェクトを進めている。2010年にアーティスト主導、公設民営のアートセンター「アーツ千代田 3331」立ち上げる。平成22年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。